噛む事の大切さを実感して下さい!
私たち人聞が物を噛む時は、最大で体重の2〜3倍の強い力で噛み砕きます。
ところが、現代の食べ物は軟らかい物が多く、口の中に入れるとお粥状態になって、すぐ飲み込めてしまい、噛むという行為自体が無くなってしまいます。
しっかり噛む事は、元気の素!
噛むということには、食べ物を小さくして、胃の消化を助けるという効果もありますが、その前に噛んだという物理的な刺激が歯全体にも加えられ、歯を支えている歯根膜繊維(コラーゲン繊維)からあごの骨に伝達されます。
さらに、顔の筋肉を介して頭全体の骨に伝達され、骨の中にある細胞を圧迫したり、けん引します。こういう状態になると細胞が非常に元気になり、栄養やカルシウムを摂取して、丈夫な密度の高い骨を作り始めます。
つまり、噛むことは顔全体の骨や筋肉を丈夫に育てているのです。
色々食べて脳を活性化!
また、「噛む」という情報は脳にも入力され「これは一体何だろうか」、「どれくらい噛んだら良いか」を、歯触りや硬さなどからすぐに判断します。
そして、「これは間違いなく新鮮なお刺身だ」、「食べても良い」、「コリコリして美味しい」というように脳全体が活力を持って動き出すのです。
さらに、「この食べ物はお袋が作ってくれた物である」とか、あるいは「友達と楽しく食べた」とか、「食べ損なった」とか、喜怒哀楽などの情報も「噛む」という行為の中には入っています。
暴飲暴食は厳禁!
噛むということは決して、食べ物を胃に入れるための準備過程ではなく、脳の中枢を介した全身の変化や活力を引き出すための重要な行為であると考えていいと思います。
ですから、2〜3回、ご飯粒に歯型を付けて飲み込むような食べ方ではなく、口の中に入れたら一口30回、しっかり噛むことを目標にしてください。
sorce:前日本咀嚼学会理事長 斎藤滋(さいとうしげる)