2017年10月講演

矯正歯科医療における3D環境の重要性

これまで、矯正治療の診断を行う場合、術前のセファログラム、他のさまざまなX線画像や石膏模型から分析を行い治療計画を立案していた。しかし、実際はそのセファログラムは1.1倍拡大された2次元のX線フィルムの頭部を正貌、側貌にわけて分析を行い、歯牙においては等倍の石膏模型から叢生量や上下顎の咬合関係を含め模型分析を行っていた。また、歯冠と歯根の関係は3次元の石膏模型と2次元のパノラマを術者の頭の中でイメージしで重ね合わせをして歯冠から歯根の状態を予想するにすぎなかった。この様な資料からでは正確な形態を表示することが難しかった。しかし、1997年に歯科界に3Dデジタル時代の扉が開き、歯科用コーンビームCTが発表された以降その画像から診断することで明確になった。2次元のレントゲンから3次元レントゲンとなり様々な角度から見れるため見えなかったものが見えるようになった。

数年前より3次元歯科矯正用ソフトが開発されCT画像から歯科矯正用診断が可能となり歯科矯正治療の3D化で矯正歯科診断は大きく変わった。もっともこのデジタル化の流れの恩恵を受けている治療が顎変形症治療とリンガル矯正治療(舌側矯正治療)だと言えるのではないかと思う。近年,顎変形症の治療の臨床の現場では,デジタル技術の利用はすでにシュミレーションソフトを用い診断からopeの術式、骨の移動距離まで2次元では考えられない情報が得られ.現在では、顎骨を3Dプリンターを用いて造形し、正確な骨の削除量、移動量を術前に提示することが可能となた。

また、オーラルスキャナー、模型スキャナーの進歩、開発は凄まじく、様々なプログラムの開発がなされている。当院では口腔内スキャナー、模型スキャナーとCT画像を使用したデジタル化により歯根を含む歯列のセットアップモデルの作成が可能となった、デジタル上で製作するため歯科技工士と情報を共有することも可能になり今後更なる応用が期待できる.

今回の発表では、CT、3Dスキャナーを用いた診断、3Dプリンターの外科的矯正歯科治療への応用の有用性、3Dデジタルプログラムを用いた舌側矯正歯科治療における正常咬合のデジタルデーターの使い方とAlignersの作成について講演致しました。

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